童話っていいね!

『おかあさんは なかないの?』

『おかあさんは なかないの?』 表紙
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作者の平田昌広さんは、1969年神奈川県生まれ。『だんごうおです。』(徳間書店)、『いろんなこそだてずかん』(PHP研究所)、『みぢかなしぜんではやくちことば』(講談社)、『ねえ、ほんとにたすけてくれる?』(アリス館)など、絵本や写真絵本を数多く手がけるほか、全国で絵本ライブを行っています。

絵の森川百合香さんは、1970年神奈川県生まれ。女子美術大学洋画専攻を卒業しました。挿絵に『おひさん、あめさん』(JULA出版局)、『暗やみの中のきらめきー点字をつくったルイ・ブライユ』(汐文社)、『ふうせん』(アリス館)などがあります。

『おかあさんは なかないの?』

平田昌広:作
森川百合香:絵
出版社:アリス館 ISBN:978-4-7520-0629-9
2013年7月発行 1,300円+税

ココがいいね!

あなたが幼かった頃を思い出してみてください。母親が泣いている姿を見た記憶はありますか?多くの方にとって、母親は涙を見せない強い存在だったのではないでしょうか。いま考えてみれば、一人の女性として、泣きたいことはたくさんあったでしょうし、実際、泣いたこともあったかも知れません。でも、守るべき存在であるあなたの前では、いつもたくましい母親でいてくれたのでしょう。母子の会話をほのぼのと綴ったお話ですが、読むと母親に会いたくなり、また、お子さんのいる方は、母親の立場として、とても共感できるお話です。

この本の読みどころ

ある日、転んでしまったなみちゃんは、痛くて泣いてしまいました。すごく痛いのだから、お母さんだって我慢できずに泣くはずだというなみちゃんに、お母さんは、大人だから泣かないと答えます。そこから、注射をしても?真っ暗なところでお化けが出ても?と、なみちゃんは、自分なら泣いてしまいそうなことを次々と並べていきますが、やっぱりお母さんは泣かないと答えます。お母さんが泣くことって、本当にないのかな?

この本の読みどころは、お母さんの包み込むような愛情が伝わってくるだけでなく、小さな子どもの気持ちが大変よく描かれているところです。泣きたくなってしまうこととして挙げている内容や、大人も子どもと同じように泣くと思っていたり、いざお母さんが泣いてしまうかも知れないと感じたら急に不安になったり、それらがとてもリアルで、子どもってそうだよねと、うなずきたくなります。なみちゃんのそんな無邪気さにぴったりな、かわいらしいイラストも心を和ませてくれますよ。