JX童話賞選考委員のご紹介

JX童話賞の選考委員の方をご紹介します。
また、選考委員の先生から、これから童話を書こうと思っている皆さんにコメントをいただいています。

西本鶏介先生

西本鶏介先生

プロフィール

西本鶏介
奈良県に生まれる。昭和女子大学名誉教授。児童文学や児童文化に対する評論、作家・作品論、民話の研究、創作など幅広く活躍。絵本や民話の再話も多い。
また坪田譲二文学賞などの選考委員もつとめる。著書は各ジャンルにわたって500冊を越える。
近刊の絵本に「おじいちゃんのごくらくごくらく」(すずき出版)、「おばあちゃんのこもりうた」(ひさかたチャイルド)などがある。

JX童話の基本的なテーマはあたたかな心のふれあいです。
それさえ守っていただければどんな題材でもかまいません。
大切なことは何を書くかではなく、いかに面白く書くかです。
いちばんつまらないのは、だれでも思いつくような発想や描き方をした類型的な作品です。
童話だからといって動物をやたらと擬人化したり、ファンタスティックなお話にする必要はありません。現実を舞台にした人間のお話だって、いくらでもすぐれた作品が書けるはずです。
素朴であっても、いきいきと泣き笑いのできる作品、空想のできごとが本当のできごとのように思える作品、みずみずしい感性のイメージ豊かな作品、個性的でありながら誰もが共感できる童話、そんな童話を待っています。
人を感動させるためには、みずから感動できる心が必要です。
なにげない風景や人間の姿にも童話になるものはいくらでもあります。
時にはじっくりと眺めてください。

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立原えりか先生

立原えりか先生

プロフィール

立原えりか
東京に生まれる。童話作家。「人魚のくつ」でデビュー以来、ファンタジーを書きつづけている。代表作は「木馬がのった白い船」ほか、「うたってよ、わたしのために」(ポプラ社)、「あんず林のどろぼう」(岩崎書店)、詩集「あなたが好き」(大日本図書)、「王女の草冠」(愛育社)など。趣味はタイ料理とタイへの旅で、「わたしのタイ・タイ料理」(フレーベル館)を刊行した。
ユーキャンの「立原えりかの童話塾」塾長、広島アンデルセン、池袋コミュニティカレッジほかで童話創作教室の講師、創作童話の機関誌「ヒースランド」の編集長などをつとめる。

童話を書こうと思ったら、空よりも足もとを見てください。空にもいろいろなものがあるけれど、足もとほど多くのものは見つかりません。足もとなら、いろいろなものを、近くで見ることができます。たとえば、地面にころがっている石ころを、よくよく見るのです。
ゆっくり時間をかけて、じろじろ見ていると、石が話しかけてきます。「どうして見ているんだよ、わたしに何かついているのかい」とか、話しかけてくれたら大成功、こちらから話しかけることができます。「ずっとここにいるの?」「それともどこかからころがってきたの?」「ここに来る前はどこにいたの?」「家族はいるの?」「友だちは?」「楽しいことは何?」「いやなことってある?」つぎつぎと、質問が浮かんできます。
質問に、石は答えてくれます。全部答えてくれるとはかぎりません。答えられない質問も、きっとあるからです。「好きな相手がいる?」と聞いたら、ぽっと赤くなるかもしれません。質問も答えも、耳に聞こえてはきません。心にひびいてくるのです。
深く優しく、思いやったとき、相手の思いが言葉になって、こちらの心に伝わってきます。質問と答えのすべてが終わったとき、おはなしは生まれます。相手は石だけではありません。花も草も虫も、だれかが落として行った片方の手袋もハンカチも鏡のかけらも、書く人のこころがけ次第で、童話のもとになるのです。待っていてはいけません。とにかく心を動かすことです。

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角野栄子先生

角野栄子先生

プロフィール

角野栄子
東京に生まれる。作家。出版社につとめ、1960年からブラジルに2年間滞在。帰国後、絵本、童話の創作を始める。「魔女の宅急便」(福音館書店)、「なぞなぞあそびうた」(のら書店)、「ネッシーのおむこさん」(金の星社)、「アッチ コッチ ソッチのちいさなおばけシリーズ」(ポプラ社)、「わたしのママはしずかさん」(偕成社)、「魔女からの手紙」(ポプラ社)など多数の作品がある。近刊の本に「おばけのアッチ ほっぺたぺろりん」、「ちいさな魔女からの手紙」(ともにポプラ社)などがある。
公式サイト http://kiki-jiji.com/

お話はどこから生まれてくるのでしょう。それは自由な気持ちからです。
初めからうまく書きたいと思っていると、その気持ちばかりにとらわれて、心はそこに向かってしか動きません。目的をきめないで、気持ちを散歩させるように、それがだいじです。そんな時、「あら」となにか目に止まったら、それに話しかけたり、いっしょに遊んでみましょう。なにか面白そうとおもったときが 物語の生まれる瞬間です。すると、主人公の顔が浮かんできて、あなたに話しかけてくれるでしょう。それは学校のともだちだったり、お化けかもしれないし、となりのはたけのみみずかもしれません。でももうあなたのたいせつなともだちです。
気持ちをいつも自由にして、こんなのつまらないのでは、なんて遠慮しないで、勇気をもって書いてください。それがJX童話賞へつながっていくでしょう。

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中井貴惠さん

中井貴惠さん

プロフィール

中井貴惠
女優・エッセイスト。大学在学中、東宝映画「女王蜂」でヒロインデビュー。
その後、数々の映画、ドラマに出演。現在は「大人と子供のための読み聞かせの会」の代表をつとめる。
2006年より様々なジャンルの音楽と朗読を合体させた朗読公演「音語り」にも精力的に取り組んでいる。「あらしのよるに」「きいろいばけつ」「ナゲキバト」「晩春」「秋日和」「東京物語」などを全国で公演中。エッセイスト、絵本翻訳家として著作物多数。
公式サイト http://nakaikie.com/

私は童話作家ではありませんので、童話をうまく書くコツはわかりませんが、良い作品は声に出して読んだときかならず一定の心地よいリズムを持っています。
ほんわかしている、すっきりしている、やさしい、快活、それは様々ですが、きれいなリズムがある作品は読み手にとってもすてきな作品です。
私がみなさんにおすすめしたいことは、ご自分の作品を書き終えたら声に出して読んでみることです。ご自分で、大きな声を出して。自分で読んだときにつっかえてしまう箇所、何度も読み返さないと意味がわからない箇所は、おそらく文章の組み立てを考え直したほうが良いと思われる箇所でしょう。
童話は子どもが自分自身の目で「読む」ことより、大人の声を通して「聞く」ことの方が多いものです。誰かの声を通して聞いたときも素敵な作品であること――。
ぜひ、こんな作業も作品作りの一つに加えてみてください。